余りの驚きで声が出なかった。


茫然としていたら、相川くんは、あたしの手から持っていたアルバムのCDをバッと奪うと、元の場所に置いた。



その時だった。



「ちょっと、君たち…」


ショップの店員らしき人が声をかけてきた。


「ヤバイ。逃げるぞ」と言った相川くんは、あたしの手を握ったまま走り出した。


後ろから「あっ!君たち!」と店員の声がする。



気にせず走る相川くんに連れて行かれるまま、あたしは、すっかり夕日が沈んだ夜道を走り続けた。