ふと、頭の中に、岩佐さんから言われた

『万引きでもしたら?』の言葉が頭の中をグルグル回った。



もちろん、そんな言葉にのって万引きなんかしちゃいけないの分かってる。



それこそバカみたいなことだと分かってる。



けど『優等生、優等生』と言われ続ける毎日に疲れた。


この今の状況を変えるには、万引きした方がいいのかもしれない。


悪魔の囁きのように


何度も岩佐さんの声がグルグルと回り


気付いたら、目の前にあった『WORLD』のアルバムを手に取り、そのまま、持っていたバックの中に入れようとした時だった。


ガシッと、突然、その手を掴まれた。



ビクッとなって振り向くと



「なにしてんの?お前」


怖い顔で睨む相川くんがいた。