「でも、…友達の名前くらいは覚えてくれますか…?」 そう言った彼女は顔を赤くしていた。 「“友達”…?」 「………あたしの名前」 コクンと頷いた知紗が出したのは消え入りそうなほどに小さな声だった。 ……友達? ずっといらないと思っていたもの。 友情なんて、めんどくさい。 信じ合うとか、笑い合うとか。 本当は、嘘で固められてるくせに。 …でも……。 「分かった、知紗ね」 バッと上げた彼女の顔からは、屈託のない笑みが零れていた。 「…うんっ!」