嘘つきな恋





バカなのはあたしだ…。


こんなとき、
どうしてなのかも、
どうしたらいいのかも、
分からない…。


「…おい、泣くなって…」


まだ慌ててる涼太は、そう言った。

そして、不器用に、でも優しくあたしの頭を撫でてくれた。


初めて触れられた涼太の手は、大きくて……。
何でも包み込んでくれるような気がした…。



はじめて嬉し涙なんて流して。

はじめて人前で泣いて。

はじめて感謝される喜びを知って。

はじめて他人の優しさに触れて。

泣き止むまで頭をなでてくれた涼太の。
バカな優しさを、いやなくらいに感じた。