「空っ!」


……え?

親以外から呼ばれなくなった名前を、後ろから叫ばれた。


――誰?


あたしは柄にもなく驚いて、振り返ってしまった。


そこには当たり前だが、
小林 涼太しかいない。



「空!」


あいつの口が大きく動いて、あたしの名前を言っていた。


「俺はお前のこと『空』って呼ぶから。お前は俺のこと『涼太』って呼べよ!」


…りょう…た…?

そっと頭の中で呟くと、少しだけ心臓が早くなった気がした。