一瞬、驚いた顔をしたけど、その男はまた笑った。 「だって、お前だって『小林 涼太』とか『あんた』って呼ぶじゃん!!」 「あたしはいいのよ!」 口答えするなっ! ムカつくでしょ。 こいつ、本当に嫌いだっ! 「んー」 小林 涼太はうなりながら考え込み始めた。 ……もういやだ。 こいつといると疲れるし、ムカつきが止まらない。 …帰ろう。 こいつを置いて、あたしはもう帰ろう。 そう思って、あたしは後ろを向いて歩き出した。