十六夜桜〜全ては愛から始まった〜



あちきは、鬼の子



今、世間で最も恐れられている鬼の子



親に捨てられ、寺に拾われ、花街に売られた。



私の体の中ではもう変化が起こっている。



一日一日、少しずつ"変化"の時を待っているのだ。



私は恐ろしさのあまり外に飛び出した。




外は寒かった。



2月の凍てつく寒さまでも、私を追い立てているように思た。




空には無数の星が輝いている。



土手に寝っころがり空を見上げた。




襦袢が夜露で濡れた。



息は白い。




目を閉じて大きく深呼吸した。