静寂の中、
ーカリッカリッー
石と石が擦れあう音が聴こえてきた。足音はだんだん近く大きくなっていく。
足音は、寺の住職らしき人だった。上から下まで黒ずくめの服を着て、顔まで隠している。性別もさだかではない。
ただ、唯一わかったのは、住職は人間ではないと言うこと。
袖口から見えた皮膚は赤く、おうとつがあり、チラッと見えた顔は鬼のようだった。
たったこれだけの事だか、俺は確信した。
住職は赤子をさっと抱き上げると、寺の中へ消えていった。
また赤子は大声で泣いたが、扉の閉まるような音と同時に消えた。俺は悟った。
この寺は鬼の子寺。

