門の前まで店の人と送った時に姐さんは私にこの煙管をくれた。



綺麗な箱に入っていて、箱には春琴の文字と姐さんのお気に入りだった桜の簪がささっていた。


「春琴。季節は巡る。明けない冬はない。冬か来なけれはこうして桜が咲くこともない。遊女は桜と同じや。綺麗なうちに輝かないけません。廓の外は素晴らしい世界や。きっとな。おまえはんも立派になって廓をでなさい」


そう言って姐さんは遠くへ行ってしまった。



「桜…」