十六夜桜〜全ては愛から始まった〜



この甘い香りと快感に一晩中酔いしれた。


こんな感覚は初めてだった。


遊女となって10数年


色んな男と寝てきたが、ここまでの快感を得たことはなかった。



外には桜が満開に散っている。



まだ床にいる伊東様形相。



はだけた襦袢を直し外の桜を眺めた。




形見分けで夕霧姐さんからもらった宝物の煙管に火を付けた。



姐さんが身請けされる日、私は12歳で姐さんの準備を手伝っていた。



姐さんはキレイで優しくて、本当の姉の様に慕っていた。



その姐さんが身請けされてもう一生あえないと思うだけで涙が溢れて止まらなかった事を思い出した。