十六夜桜〜全ては愛から始まった〜





「甘い…」



血は予想以上に甘かった。




今までに感じたことのない味。





全てが満たされたような気がした。




体が軽くなり、すっきりしている自分がいる。




血には漢方と同じ効果があると聴いたが、予想以上だ。






血で汚れた襦袢を脱ぎ、単に着替える準備をした。




今晩は伊東様がいらっしゃる。






そんなことを考えながらふと鏡に目をやると、
いつもはあるはずの龍のような大きな傷が小さくなっていた。







痛みも全くなくなっていた。