「甘い…」 血は予想以上に甘かった。 今までに感じたことのない味。 全てが満たされたような気がした。 体が軽くなり、すっきりしている自分がいる。 血には漢方と同じ効果があると聴いたが、予想以上だ。 血で汚れた襦袢を脱ぎ、単に着替える準備をした。 今晩は伊東様がいらっしゃる。 そんなことを考えながらふと鏡に目をやると、 いつもはあるはずの龍のような大きな傷が小さくなっていた。 痛みも全くなくなっていた。