十六夜桜〜全ては愛から始まった〜


ーーーーぽたっーーーーー



畳に菜の花の手から出た血液が一滴垂れた。



「姐さんすんまへん。手を切ってしまいんした。すんまへん」




菜の花は何度も何度も謝った。



「菜の花。傷口を見せんしゃい。ちこうより」


どこからかする甘い匂いに私は酔いしれていた。



花林糖のような砂糖を焦がした匂いだ。



菜の花はゆっくりと近づいてきた。



そして、手を差し出した。


手には小さなガラスの破片が刺さっていた。




傷口からは真っ赤な血が滲み出ていた。




なぜだか、私は生唾を飲んでいた。




美味しそうだ。




我を忘れていた。