十六夜桜〜全ては愛から始まった〜




青く輝く水晶玉に何かが浮かび上がってきた。





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寺の前には布にくるまれた赤子を抱く女が一人。
じっと寺を見つめている。
高貴な身なりをしている。しのぶずりの着物からきっと公家だろう。女は、ゆっくりと赤子を地面に置き、赤子の手に何かを握らせ走り去った。
一度も後ろを振り替える事なく……。



姿が見えなくなるとすぐに、赤子は泣き出した。大きな泣き声で母を呼ぶ。だか、母はいない。泣いて泣いて泣いて。
なんと、かわいそうなのだろう。



泣き声だだんだん小さくなっていく。



ぴたりと泣き声が止まった。




辺りは静寂に包まれる。