襖の向こうで姐さんたちが噂話に花を咲かせていた。





「聞いたかい!!昨夜裏の林で鬼が見つかったらしいよ。八龍とか言う組がやっつけたらしいけど…」




「怖いわーそんなちこうとこんで」





"鬼がでた"





この前伊東様も仰っていた。





鬼のことを。





煙管に火をつけ菜の花(仕込み)を呼んだ。





バタバタと廊下を走る音が聞こえ襖の前でピタッと止まった。





煙管の中の灰を火鉢に移した。


その時にでるカンカンという音。


これが、部屋に入れという合図。


三回叩いた。