「伊東様。このような場所で」 驚きはしなかった。 大体は予想がついていた。 こういう時に取るべき行動はこうだったというだけ。 伊東様の袖口を引っ張る。 すると、ネズミがネズミ捕りかかる様に伊東様が私の手を握った。 「いいか!!指一本触れてみろ!!」 伊東様は首もとに指を二本立てた。 そんな中でもあの男だけは私をじっと見つめていた。