十六夜桜〜全ては愛から始まった〜





「伊東様。このような場所で」




驚きはしなかった。




大体は予想がついていた。




こういう時に取るべき行動はこうだったというだけ。





伊東様の袖口を引っ張る。





すると、ネズミがネズミ捕りかかる様に伊東様が私の手を握った。





「いいか!!指一本触れてみろ!!」



伊東様は首もとに指を二本立てた。





そんな中でもあの男だけは私をじっと見つめていた。