縁談後、康隆様と床についた。 「春琴。お前の本当の名は何と言う」 不意に康隆様が言った。 「わたくしは、物心がついた時にはここの娘でありんした。親のことも何処で生まれたかも名前さえも分からないでありんすよ。わたくしは寂しい人間でありんす」 「………………。」 しばらく沈黙が流れた。 「名は春琴という素晴らしい名があり、後には康隆様の夫婦(めおと)となりやす。わたくしの初めての幸せでありんす」