いつの間にか、貼り紙を握り締め近くの役所へ出向いていた。





「あの…」




防人は一度俺を睨み付けた。
だか、俺の手に握られた紙を見ると、ガラリと態度を変え領主である伊東という奴の部屋に通された。




立派な屋敷。
数え切れない程の武士たちが一枚の襖の前に並んでいる。大政奉還で武士達は行き場を失いこじき同然の生活をしている者にはありがたい話なのだろう。




俺の様な武士とはかけ離れた身なりをした人が一人ぽつんと佇んでいるせいか、視線が強く感じられた。