少女は、桜を眺めているようだった。
今、考えてみるとなぜだかわからないが、僕は少女に話しかけていた。
僕の手に握られていた、血がついた小刀の存在など忘れ去っていた。
『君はだれ?』
だか、振り替えってくれない。
『ねぇ。君はだれ?』
辺りは静まり返っていた。
音は何一つ聞こえない。
『私はだれ?私はだれ?私はだれ?』
確かに少女はそう言った。
ゆっくりと、言葉を探しながら三回言った。
三回言い終わると、またさっきの風が吹いた。
僕は飛ばされまいと必死で地面をつかんだ。
でも、まだ10歳の子供だ。なんなく風に飛ばされて地面に頭を強く打ち付けた。
それからは、記憶がない。

