「花魁お呼びです」 もう一度鏡で確認をする。 襖を開ける。 前には御付きの"仕込み"と呼ばれる少女がいる。 「花魁。伊東様がお待ちです」 重たい足を一歩出す。 重さが私の身分を語っている。 ここは……。 ここは、京の華街遊善。 私は、ここの遊女「春琴」(しゅんきん)この華街では有名な遊邸の花魁だ。 籠の鳥 私にはいつも付きまとう言葉。 花魁の幸せは、いつか身請けすること。 「伊東様。お待たせしんした」