王子様に恋して 番外編

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ツァールトに乗って牧草地を駆け抜ける。



風をきりながら走るとすがすがしい気持ちになれる。



牧草の緑の匂いも心地よい。



「リン!そんなに駆けると危ない!」



トイフェル(悪魔)に乗って近づくアルは注意を促す。



「大丈夫!とっても気持ちがいいの ツァールトはお利口さんだから心配しないでっ!」



アルから逃げるようにツァールトを動かす。



「まったく、お転婆な妃殿下だ」



わたしの後姿を見ながら、アルがため息交じりに呟いたのはもちろん聞こえない。



フェリクスからあとで教えてもらった。



乗馬中、アルフォンス様はリン様をご心配しておりましたと。



しばらくすると、ツァールトを休ませる為にゆっくり歩かせた。



そこへアルがやってきて腕を差し出す。



にっこり笑ってアルの腕に掴まり、トイフェルに身を躍らせる。



わたしはアルに抱きかかえられるようにしてトイフェルの背に乗った。


首筋にアルの吐息を感じたと思ったら、唇が触れた。



「ぁ、アルっ」