王子様に恋して 番外編

「ツァールトっ!」



厩舎の中でツァールトは耳をピンと立ててわたしを待っていてくれた。



駆け寄ってツァールトの首に抱きつき、手のひらから角砂糖を与える。



ツァールトは美味しそうに食べている。



「会いたかったよ~」



しみじみツァールトの再会を喜び、アルへと振り返る。



「アル!わたしを忘れていなかった……みた……い……」



振り返るとアルが不機嫌そうな顔になっていた。



「どうかした……?」



「いや……なんでもない」



いつものアルらしくない返事が返ってくる。



「なんでもないわけないよね?何か言いたそうな顔をしているよ?」



そう言うと、アルは深いため息を吐いた。



「日本で会った時のリンを思い出したんだ 領事館で逃げようとしただろう?今、ツァールトに接した様にして欲しかったと思ったんだ」



「……だって、あの時はアルに会っちゃいけないと思ったから……」



もしかして馬に嫉妬?