風が吹いてアタシの髪を揺らす。
たまに風が傷に触れて痛んだ。

｢恵‐！！｣
遠くから明日香の声が聞こえる。
アタシは痛む身体を起こした。

｢め…ぐ…？｣
明日香はアタシの変わり果てた姿を見て驚いていた。
｢電話…出れなくてごめんね？｣
アタシは溢れ出しそうな涙をこらえ弱々しく頬笑んだ。
｢どし…たの…？どうしてそんな風になってるの…ねぇ…恵…？｣
明日香の声は震えていた。
｢……｣
アタシは口を閉ざし明日香から視線をそらした。
｢ねぇっ恵！！何があったの！？お願いだから答えてよ！！｣
明日香がアタシの肩を揺さ振る。
｢……｣
｢め…ぐ…お願いだよ…アタシ…恵の力になれないなんてやだよ…｣

明日香は泣きながらアタシにすがりついてきた。

―ｽﾞｷｯ…―
心が…痛かった。
｢ｸﾞｽｯ…うわぁぁ！｣
アタシは明日香の胸で泣き崩れた。

明日香はアタシの背中を何度も何度もさすってくれていた。