幸せの明日

「美香梨…福重美香梨を知ってる?」

―ドクン―
アタシは心臓が止まるかと思うぐらい驚いた。
美香梨……懐かしい名前だった。
「うん…知ってる。」
「アタシね…美香梨と凄く仲が良くて、一番の友達だった…。美香梨が居てくれたからいじめにも耐えられた。だけど美香梨は……」
明日香はそこで話しを止めた。
―ズキ―
胸が痛む…。
そして明日香は再び口を開いた。
「美香梨がいなくなってから…いじめがどんどんエスカレートしていったの。靴を隠されたり、携帯をトイレの便器の中に投げ込まれたり…もう死にたくて…だけど死ぬのも怖くて…アタシは人に頼る事しか出来ないの…。お願い…大崎さん…アタシを助けて……グス…。」

明日香はその場に泣き崩れた。
「ごめんだけど…アタシみたいな落ちこぼれはなんの力にもなってあげられないの…。」

仕方なかった。
明日香はアタシの過去を聞いたらきっと引くだろう。純粋な明日香をアタシみたいな汚れた人間なんかが助けてあげれるわけなかった……。

「お願…い…ぉね…がい。」
だけど明日香は必死にアタシに助けを求めていた。

―ズキ―
そんな明日香を見てると胸が凄く痛んだ。

アタシは明日香の隣にしゃがみ込んで明日香の頬に触れた。
「アタシの過去…聞いたらきっと…驚くと思う。きっと…汚い人間だって思うよ…?」

明日香はアタシの目を見つめた。
「大崎さんは…汚くなんかないよ……?アタシに大崎さんの過去…話してくれるかな…?」

「うん…」
アタシは頷き、深呼吸した。
そして口を開いた。