幸せの明日

「眩し…」
カーテンを開けると明るい光が差し込んだ。
不思議だけど…
『幸せ』
って唱えたら…
自然に涙が止まったんだ。
「散歩でも…行こうかな。」
アタシは小さく伸びをして、静かに家を出た。
ずっと暗い部屋で泣き続けていたから、温かい光を身体中に浴びて、凄く新鮮だった。


空を見上げる。
今日の空は涼介と最後に見た空と同じ色をしていた。
「涼介…空…綺麗だね。」
空を見上げて小さく頬笑んだ。

「お姉ちゃん!!」
その時、背後で声がした。アタシはゆっくりと振り返る。
そこには小さな小学生くらいの女の子が立っていた。
「どうして空見てるの?」
女の子が不思議そうにアタシにたずねた。
「幸せになれるからだよ。」
アタシはそう言って優しく頬笑んだ。
「しあわせ…?私も幸せになれるかな?」
「こっちにおいで?」

アタシが手招きをすると女の子は小さく頷いてアタシに近寄った。

―ギュッ―
小指を絡める。
「幸せ…幸せ…幸せ」
3回唱えてアタシは小指を離した。
女の子は首を傾げて小指を見つめている。
「アタシの大好きだった人が教えてくれたおまじないだよ。これで幸せになれるよ。」

アタシはそう言って女の子の頭を撫でた。
「幸せかぁ♪♪お姉ちゃんも幸せになれると良いね!!」
女の子はそう言うと、走り去っていった。


「アタシにもいつか幸せが訪れますように…。」
心の中で小さく願い、アタシは歩き出す。

涼介…
貴方と会えて…
ホントに幸せでした。