「恵?俺…」
「ん…?」
涼介が言いかけた。
「…いや。何でもない!」
「変な涼介(笑)」
アタシは明るく振る舞った。
だけど本当は涼介の言葉の続きが気になって仕方なかった。
「そろそろ、病院に戻るか?」
涼介がアタシの頭を撫でながら問いかける。
「そだね…」
離れたくなかった。
ずっとこんな時間が続けばいいって思った。
涼介がアタシの手を優しく握り、歩き出した。

暗い夜道を涼介と手を繋いで歩いた。
「あ…」
「…?」
涼介が急にアタシの手を放し、地面に座り込んだ。
「涼介?」
「恵!!」
アタシが呼びかけると涼介が嬉しそうに振り返った。
「恵の探してた指輪って…これじゃね!?」
涼介がアタシに見せた小さな指輪…
それは紛れもなくアタシが探していた指輪だった。
「アタシの…アタシの指輪…」
涙が溢れた。
「よかったな恵…」
―ギュッ―
アタシは涼介の言葉を遮り涼介に抱きついた。
「あり…が…と」
アタシは泣きながら小さく呟いた。
「恵…」
涼介も優しく抱き締めてくれた。