幸せの明日

｢ﾊｧ…ﾊｧ｣
いない…
どんなに探し廻っても明日香は見つからなかった。

―♪♪―
その時、鞄の中の携帯が鳴った。
途方にくれていたアタシはゆっくりと携帯を手にして電話に出た。

『きゃはは♪♪』
電話の向こうから笑い声が聞こえて来る。
｢…誰？｣
アタシは低く怒りに満ちた声を出した。
『アタシ。』
アタシが問いかけると短い返事が帰って来た。
｢は？おちょくってんの？名前名乗れば？｣
アタシは少し怒鳴り気味で言った。
｢アユリだけど〜大崎恵さんに用がありまぁす♪♪｣
アユリは少しふざけて言った。
｢はぁ！？てめぇ…｣
｢はい！ちょっと待った〜♪♪｣
アユリがアタシの言葉を遮る。
｢大事なお友達は今アナタの為に生け贄にされてまぁす♪♪助けたければ今すぐに宿泊先のホテル裏にきな。｣

アユリはそれだけを言い電話を切った。
生け贄…？
明日香が…？
アタシはホテルに向かって走りだした。