幸せの明日

「何…?ってか会いたくて会ったわけじゃないんだけど。」
アタシはそう言うとアユリを睨んだ。

「はぁ?アンタってホントにウザイんだけど!!」

「で?アンタみたいにキャアキャア言ってる女よりはマシだと思うけど?」

「…いい加減にしろよ!?」

アユリはそう言うとアタシの胸ぐらを掴んで今にも殴りかかりそうだった。
そしてアユリが拳を振り上げた……。

―その時―

「アユリ?」
背後で声がした。
低すぎず高すぎず、綺麗な男の声だった。

アユリがその声に反応しアタシの胸ぐらから手を放した。
「涼介!?」
「何やってんの?」
涼介と呼ばれる男がアタシとアユリのやり取りを不思議そうに見つめていた。

「ちょ、ちょっとね。こいつがさ。」
アユリはそう言ってアタシを指差した。

「はぁ…。お前なぁ、一応女なんだから言葉遣いには気を付けろよな?」

「だ、だって‐!!」
アユリは何か言いたげな顔をしていた。

「ほら。部屋戻るぞ?」
「うん…。」
涼介はアユリの手を引いた。
いつも女王様キャラのアユリは珍しく涼介の言葉にあっさりと従っていた。

アユリはアタシの方を再び振り返った。

「大崎恵。まだ許さないから!!」
そう捨て台詞を吐いて涼介とアユリはアタシの前から姿を消した。