学校につき、私は教室へ着くや否や梨桜ちゃんの元へと向かった。
しゃがみこみ、本を読んでいる梨桜ちゃんを覗き込むような形になる。
私に気が付いた梨桜ちゃんは「何?」という目で私を見た。
「梨桜ちゃん…今日暇?」
「今日? ん~…まぁ、大丈夫だよ。」
「よかった!じゃあ私と放課後…」
「あなたの婚約者さんは?」
私の声を遮るようにそういうと目だけを凌雅の方へ移動させ、そしてまた私を見る。
「今日は大丈夫なの!
許可も取ったから!!」
「そう、じゃあ行こうか。」
梨桜ちゃんはそういってにっこりとほほ笑んだ。
少しだけ空いてる窓の隙間から風が入ってきて梨桜ちゃんの髪がふわッと揺れた。
…梨桜ちゃんの顔が少しだけ曇った気がした。
気のせい…かな?
私は不思議に思ったけれど特に何も聞かなかった。


