シェフがリビングから出ていくと、凌雅はテーブルの上にコーヒーカップを静かに置いた。
「今日の放課後出かけるから、開けといて。」
「きょ、今日?!」
「なに、都合悪い訳?」
眉間にしわを寄せ、私を睨むように見た。
一瞬怯んだけれど、私は小さくこう出た。
「明日じゃダメ…かな?」
どうせ「ダメ」って言われるんだろうけど。
しかし以外な答えが返ってきた。
「わかった。」
「…へ?いいの?」
「いいよ、別に。」
拍子抜けする私に凌雅はまたコーヒーカップに口を付けた。
…なんか、あったのかな。
少し優しくなった凌雅に笑みがこぼれた。
「どーせ、くだらない話でもするんだろ。
でも家庭教師来るんだから7時には帰ってこいよな。」
…前言撤回。
やっぱり変わりはないようです。


