キレイな人。
黒い髪に黒い眼鏡をかけて知的な感じの人。
20歳前後のその女性と一緒に部屋に入り、私の目の前に立った。
「こんにちわ、妃芽ちゃん。」
誰?そう聞こうとすると、聞く前に答えた。
「今日から、妃芽ちゃんの家庭教師になります。
笹原由紀(ササハラユキ)です。」
………は?
家庭、教師…?
呆然とする私に凌雅は話しかける。
「…妃芽さん、隣の部屋に来てください。」
…こんな時まで、猫かぶりですか。
私は大人しく凌雅の後について行った。
「何言ってるの?」
「お前男ダメじゃん。
俺もダメじゃん。
だから、家庭教師。」
「いやいやいや、勝手すぎる…。」
家庭教師なんて別にいらないのに。
そう言おうとした、それと同時に凌雅が口を開いた。
「こうでもしないとお前変われないじゃん。」
…何も言えなかった。
その通りだったから。
それが悔しくて悔しくて、顔をあげれなかった。


