「私…ッそこで、着物買ってるんですよ!」
「そうなの?
最近、私も手伝い始めたの。
よかったら来てよ。」
私の目をまっすぐ見つめ、梨桜ちゃんは言う。
黒い髪が小さく揺れた。
「絶対行きます!」
「うん、待ってるね。」
…他愛もない会話、でもすごく嬉しかった。
友達なんてできないんじゃないかと、編入早々思っていたから。
「ってかさ、あの人には気をつけなよ。」
笑顔が一気になくなる。
小さな眉間のしわに、私は首を傾げた。
……あの、人?
1人だけ思い当たる節があった。
「外崎一姫…さん?」
そういうと、梨桜ちゃんは頷いた。


