「凌雅坊ちゃま。」 「なんだ?」 「準備ができました。」 「そうか、分かった。今行く。」 …準備? いったい、準備とは何の準備なのだろう。 首を傾げたと同時に大き目の声で凌雅は私を呼んだ。 「妃芽!」 「はいぃぃぃ!!」 ビクッと体を震わせ、ゆっくり凌雅を見る。 そこには腕を組み、偉そうに立っている凌雅。 でも顔は嬉しそう。 怯える私に凌雅は優しい声をかけた。 「妃芽、行くぞ。」 凌雅はそういうと扉の向こうへと歩き出し、私はその後ろを必死に追いかけた。