だんだん近づく凌雅に、 私はどんどん後ろに下がる。 「なんで逃げんだよ。」 「だ、だ、だから! 私、男性恐怖症ッ!!」 両手を精一杯振り、凌雅から遠ざかる。 「あのさ、なんか思い出さない?」 「・・・へ?」 思い・・・出す? 意味が分からない。 唐突に言われたその言葉に、私は首を傾げた。 凌雅の顔を見て、一体何を思い出すんだろう。 「別に…なんも。」 そういうと、一瞬切なそうに笑ったけど、すぐにいつもの表情に戻った。