放課後、家路につく私たち。
そして決行される“男嫌い克服大作戦第2段”。
…残念ながら、30㎝から進みません。
「早く来いよ。」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら私の前に立つ。
「待ってよ!!」
焦りの表情を見せながら、凌雅の前に立つ私。
「お前いつまでそうしてんだよ。」
「もう少しなんだってば!!」
痺れを切らした凌雅はそういうが、私だって一生懸命なのだ。
…というか、
「このゴールは一体どこなの?」
一般的に30㎝の距離なら、生活に支障はない。
ならば、ここでやめてしまってもいいのではないか。
そう思った。
のも、つかの間。
「お前…ばかだな。」
……………はぁ?
凌雅は確かに無表情でそういった。
「…ばか? 何が?」
「この距離なら生活にはなんら問題はない。
でも、恋人同士なら?
付き合っていくうえで、抱きしめることも、キスすることも、
…もちろん、
それ以上も。
今のお前に出来るか?」
くっ、と歯をくいしばる。
凌雅の言ってることは正しい。
今の私には出来ない。
けれど…、
今すぐにでなくても構わない。
そう伝えたかったけれど、私のために言っていること。
そう思って言うのはやめた。


