他人にとってはどうってことのない距離でも、私にとっては拷問。 あぁぁぁあ、と頭を抱えながらも足を進める。 少しずつ、焦らずに。 数か月後。 私達の距離は… 「妃芽。」 「は、はい…!」 ぷるぷると震える足を一歩前に出す。 一歩近づき、瞑っていた目を開ける。 いつもなら倒れてしまうこの距離も、今なら平気になった。 「…やったー!」 小さくジャンプをして喜ぶ私に、凌雅も目を細めて笑った。 その笑顔に小さく胸が痛む。 でも甘い痛み。 「…?」 首を傾げる私に、凌雅が不安そうな顔をした。