「妃芽。」
呼ばれた。
声の主は、
「凌雅…。」
「大丈夫か?」
「うん…。」
広いベッド。
少し離れて凌雅が座る。
ギシッと音を立て、小さく沈む。
私の位置から見えるのは、凌雅の広い背中。
何か会話をするわけでもなく、ただひたすら時間が進む。
何しに来たの…?
そう問いかけようとした、ときだった。
「お前も学ばねぇよな…。」
ため息交じりに言う姿に苛立ちと不安を覚える。
「ごめん…。」
「攻めてる訳じゃねぇけどさ。」
いや、攻めてるようにしか聞こえなかったのだが。
そう言いたい気持ちを抑えて、グッと飲み込んだ。


