「あっという間だったな。」 「本当にね。」 「小説の力ってずるいな。」 星生くんと梨桜ちゃんが語る中、私は扉を見つめる。 本当に、あっという間。 そして“私は見た目だけで判断していた”ことを痛感していた。 今まで拒否していたのは、凌雅が半径1メートル以内に近づくこと。 が、平気だった。 悲しいとか、そんなんじゃなくて。 ただ、虚しかった。 でも治るのなら…。 でも…治ったら? 私は凌雅の側にいる意味はあるのだろうか…?