雅side



日差しが暖かい朝、教室の窓から見える桜の木は大分散っている。
アタシは1ヶ月前の今日、女子高生になった。


「雅ー」


冴島 鳴(サエジマ ナル)が呼んでる。鳴は高校で1番最初に出来た友達だ。


「ん?なにー?」


「九条が呼んでる」


九条 優(クジョウ ユウ)はアタシの彼氏だ。
高校に入ってから1週間たった日、アタシに告白してきた。
優は顔が良いし別に好きな人もいなかったからOKした。


「そか、行って来る」

「襲われないようにねー。笑」


なんて鳴は冗談を言う。
でも、冗談じゃない。
優はアタシを呼んではせがんでくる。


「雅ー、こっちこっち」


優がアタシを呼ぶ。


「なに?」

「いい加減ヤらせてよ」


は?教室のど真ん中で何言ってんの?みんないんだけど。


「え〜?まだ優くん達ヤってないの?優くん可哀想〜。雅なんてやめて私と付き合ってよ〜」


優の取り巻きの1人が言う。


「はぁ?何言ってんの?優はウチと付き合うんだし」


続いて2人目の取り巻きが言う。


「え?2人共俺と付き合ってくれんの?嬉しー」


優がふざけて言う。


「用はそれだけ?アタシもう行くから。」


アタシはそう言って教室を飛び出した。