ある夏の日。ただいま時刻は午後夜8時。

夏は『肝試し』と言う現実的な公式は一体誰が作ったのだろう。

その日の夜は呆れる程に肝試しに向いていない気候だった。

暑い、暑い、暑い。

三拍子で暑いが揃う程に。

始まりは、時を遡ること5時間前。



*


「ねー。今日肝試しやんない?」


授業終りのはずなのに無駄に元気な声で皆を誘う、白石夏子。

一緒に帰っている、プラス肝試しに誘われた三人は冷たい視線で夏子を見た。


「やだね、暑いじゃんか」


一人呟いたのは明石佐月。クールに受け止める。結局の理由は、『こんなむさ苦しい夏に外に出掛けたくない』だ。

きっと誰もが思っている。