それでも。

一樹は色んな子をたぶらかす。

好きではないらしいのだが女の子達は勘違いする。

言い方が言い方だからかも知れない。


<一樹?今日は言いたいことがあってきたの>

<ん、なに?>


私は切り出そうとした。一言、たった一言。

『―別れよう』


恋愛に悩みすぎて大好きなバイオリンさえもおろそかになっていた。

もうこうするしかなかった、自分のためにも。

<私達、別れよう?>

<……>

<大好きなバイオリンもおろそかになっちゃってるんだ>

<……そっか>


返事は数分後にきた。

彼も彼なりに悩んだのだろう。