夕暮れ時で
人の出入りの多い午後5時頃



僕は彼女に呼び出され
渋谷駅前にいた



渋谷駅――



ここは2人にとって
思い出深い場所



二人がつきあい
始めた所なんだ



人が激しくすれ違う
スクランブル交差点を前に



僕は彼女に告白した



そんな記念のような
場所なんだ



「あ、」



僕は改札を出て
辺りを見回す彼女を見つけた



急いで来たのか
心なしか柔らかいパーマの黒髪が
浮きはねているようにみえる



「おい」



反対に行きかけた彼女に
呼び掛ける