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「ま〜だ、怒ってんの?」
「……」
何も喋らない私に、彼は、
はあ、とため息をついた。
ため息をはきたいのはこっちだっつーの。
あれから、アイスショップを後にして私の家に向かって歩いている。時刻は6時ごろ。
「柚子、」
「…」
「ゆ〜ず」
諦めずに私の名前を呼ぶ。
「…」
すると、
「ごめんってば。そんなに嫌だった?」
私の前に回り込んで首を傾げる一ノ瀬 奏。
同時に私も立ち止まる。
「……もう、しないでね」
じっ、と目の前の一ノ瀬奏を見る。
「え、うん。」
急に目を泳がせた目の前の奴をわたしは訝しげに伺う。
「何??」
「いや、そんなに見つめられると照れるなあ、と思って。」
「な、なに言ってんの?またそうやって!」
天然?また恥ずかしいことをこの人は…
