「こ、怖かった…」
へなへなとその場に座り込んだわたしを見た一ノ瀬 奏は、ふっと目を細めた。
さっきの面影は微塵もない。
「なっなんでいんの!」
「いたよ。最初っから」
「はぁ!?」
意味が分からない。
言ってる意味が分からない!
そう思ってる私の気持ちを察したのか。
「寝てたんだよ。そこで」
木の裏側を指さす。
「はい?」
聞き返した私に、
ん?と小首をかしげる一ノ瀬 奏。
「ちょっと待って。最初っからいたって言った?」
「言ったけど?」
やっぱり。
だったら、
だったらなんで、
「じゃあ、何でもっと早く助けないのさっ!!」
