一ノ瀬奏の告白現場を目撃して


おまけにキスまでされた後、


完全に授業に遅れた訳で。


行ってもおこられるだけ、と言う


一ノ瀬奏の言葉に乗せられて


二人で授業をさぼった。



裏庭の大きな桜の木の下で、


2人して寝そべっていた。


もうすぐ夏も来る。

穏やかな日だな、と思った。



「柚子ー」


「なにー」


「やだ、俺の名前呼んで」



やだ。って。


子供か。


だけど


この前はちゃんと呼べなかったから...


一回くらい。



「...奏」



「ん?聞こえない」



絶対からかってる。



「奏!」



「ははは、」



嬉しい、って笑うから



私もどうでもよくなって



嬉しくなった。



「これから、ずっと名前で呼べよ?」


「うん、」


一ノ瀬、


じゃなくて、


奏の゛これから゛に私が


嬉しくなって、胸が弾んだことなんて奏はきっと知らない。



「約束、」


ん、って白くて長い綺麗な


小指を突き出した。



「うん、約束」



私もその綺麗な指に自分の小指を絡めた。



「うわ、指ほっせ」



ケタケタ、隣で笑う彼を


誰よりも愛おしく思う。