とりあえず。
涙を止めなきゃと、
頑張ってみるけど
涙はなかなか止まってくれない。
もう、授業には完全に遅れてるし。
「柚子、」
下から、さっきまで
一ノ瀬奏と綺麗な女の子が
いたところから聞こえた。
「っ」
気づいてたんだ...
「降りてこれば?」
柱から顔だけを出して見ると
手招きをする。
小さく頷いて、
急いで階段を降りた。
下につくと
一ノ瀬奏はこっちをむいて微笑んだ
「また、泣いてんだ?」
って言葉と一緒に。
「な、泣いてないよ」
「泣いてる」
くすり、整いすぎた唇を上げて
私の涙を指ですくった。
「わっ」
それだけで
胸がきゅうーってなる。
