Search the best way

拓人は随分長い時間、黙ったままだった。
俺は泣き出したいような気持ちになる。
泣きたい、なんて思うほどの感情の高ぶりは一体どれくらいぶりだろう?


「ここに」


静かに拓人が言って、俺の胸のあたりをとんと押した。


「何か、あるだろ」

「……?」

「何かの衝動が。だから苦しいんだろ。わかんないんだろ?だったら、せめて認めろ。何かの衝動があるって事。冷めたフリすんなよ、余計苦しいだろ」


途端にあの、胸の奥でチリチリと何かが燃えるあの感覚を思い出す。こいつは俺の何を知っているって言うんだ。


「俺は未だにその正体がわからない。もしわかったとき、今までしてきたことは全部無駄だってわかるかもしれない。でもそれでも、探そうとしたら、常に何かは見えてくる」

「……意味わかんねぇ……」


俺は胸に、何かを飼っている。
他人に見せている俺には不釣合いの、今にも暴れ出しそうな何かだ。
ずっと飼いならしたふりをして、手なずけた。
それが……今目を覚ますんだ。

知っているんだ。
俺と一緒に大きくなったそいつと俺は、もう一度向き合って闘わなきゃいけない。

負けることは、きっと、無い。

思わず、笑った。こみあげてきたからだ。


「晶?」

「……マジお前、すげーよ。なんだろな……変なの……」

「いや、変なのはお前だ」


真面目くさった顔で言う。
何言ってやがる、と俺は軽く拓人の肩を殴ってやった。