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***

3ヵ月なんて、本当にあっという間だった。
俺は無意識のうちに家を空けていたし、
拓人も俺の家を寝るのに使っているだけのようだった。

でもたまに、彼が地図を広げたりしているのを見ることがあって、
やっぱりいなくなるんだと落胆と安堵が混ざったものが俺のなかに渦巻いていた。


「晶」

「ん?」


たまたま、2人ともが家にいる時だった。拓人は相変わらずの彼のまま、俺を呼んだ。

俺はその時拓人の作ったオニオンスープとグラタンのあまりの美味さに夢中になっている所だった。
拓人はそのいかつい見た目によらず本当に器用で女性のように細やかで、俺は家事をやってもらうことの幸せをここ3ヵ月でものすごく実感している。
しかも数日で俺の食事の好みやらを見抜いてしまったようで、その上で微妙にバランスのとれた食事を俺に食べさせようとする。

ホント、気持ち悪い。だけど、ホント、ありがたい。


「3ヵ月、世話になったな」


手が止まった。だけどそれは一瞬だけで、俺はまたグラタンを口に運びながら言った。


「出て行くんだな?いつ?」

「明日、かな」

「……そらまたお前、突然だな」


唇の端をなめてお茶を飲み干す。
拓人がすかさずおしぼりを渡してきたので、俺は笑って気持ち悪いよお前、と言ってやった。拓人も笑う。


「来た時だって突然だったじゃないか」