あれから、何分…いや…何時間経ったんだろう…。沙羅さんから突きつけられた真実に、私は平常心を保つことが難しくなっていた。

「梨乃ちゃんに、こんな話するのはどうなんやって自分でも思っとる。でも…考えて欲しい。」

最後に、病室を出る前に沙羅さんが言った言葉だ。

私は…考えて欲しいと言われながらも、何も考えることができなかった。考えたくないと言っても間違いではないかもしれない。

『私…私…どうしようもできないよ…。』

そんなことを口にした途端涙がポロポロと流れてきた。

ああ…だからなんだ。だから波流君…あの時…あんなに…。

自分の波流君に対する気持ちを知ったこと、沙羅さんから聞いたこと、色々なことで私の心はかき乱されていた。

そんな中で、波流君が退院する日が迫っていた。