あの窓の向こう側

「でも、梨乃は、波流が好きだ…

だから、梨乃の幸せを思って、

俺は、伝えられたらそれだけで良い、

波流が居ないときに梨乃に何も

起こらないように見守れたら良い、

そう思ってた…

だけど、お前何かに、

任せてられるかよ…!!」

「爽汰…お前…」

それだけ言って爽汰君は病室を

荒々しく出ていった

私は、影に隠れて、爽汰君の

後ろ姿を、見つめていた

爽汰君…ありがとう…

そんなにも私のことを思ってくれて…

でも、でも、ごめんなさい…

私は、波流君が…好きです

そして何気ない振りをして、

病室に戻った。

「あれ…波流君…!!?」

波流君は暗い顔をして何かを

考えているみたいだったけど、

一瞬で顔を変えて

「お、おう!!梨乃♪会いに来たで♪」

そう言った