あつしの声でその事実を聞いた俺は泣きたくなった。泣いてあつしに謝りたくなった。

だってこれは俺が望んだことだから!

あつしは俺の親友だ。
けど、俺より頭のいいあつしを、俺はずっと心のどこかで妬んでた。

俺が今回受験した高校より、はるかにレベルの高い高校を受験するあつしに、俺は「頑張ろうな」と言いながら、落ちればいいのに、と思っていた。

あつしは本気で俺を応援してくれてたのに!

分かってる、分かっているんだ。俺は思っただけで、あつしに何かをしたわけじゃない。

けど、俺は、俺のせいだと思わずにはいられなかった。

例えどんなに少しでも、もしも俺の思いがあつしのこの結果に関わっているとしたら!
俺はもうあつしと顔を合わせることができないだろう。

「…なぁ、しん。」

あつしが再び口を開いた。

「俺さ、本当はこの高校受けたくなかったんだ。本当はお前と一緒に通えるところが良かったんだ。
なぁ、しん。二次募集でお前と同じとこ受けてもいいかな?」

その声はさっきとは違って明るかった。

あつしが言ったこれはきっと嘘だろう。
けれど、きっと半分は本心だ。

だからこそ俺は救われた。

いつもだ。あつしはいつも何気ない一言で俺を助けてくれる。

「あぁ、それがいいんじゃない?お前がいてくれたほうが俺も心強いよ。」

これは俺の本心だった。


そう言えば、

俺もいつも、気がつけばあつしを救っているんだ。



<不合格>